着脱式の人工乳房を購入されたがん患者の方に対して、購入補助や助成金制度を設けている自治体があることをご存知でしょうか?
2013年、エキスパンダー・インプラント(人工乳房)の埋め込みや自家組織の移植を行う乳房再建術は健康保険適用の対象となり、自己負担額は医療費の3割となりました。
ですが、乳房を切除された方の中には、様々な理由で再建術が選択できない方、選ばなかった方がいらっしゃいますし、外見の変化により社会参加への不安を持つ方も少なくありません。
そんな方にお使いいただけるのが、必要な時に胸に貼り付けて使う、着脱式の人工乳房や人工ニップルです。
この着脱式の人工乳房は、アピアランスケア(外見ケア)の範疇にあたるため、現在は国の保険適用や医療費控除の対象とはなっていません。
そこで、各自治体が主体となって、独自で人工乳房※の購入補助や助成金制度を設けているのです。
※自治体では、人工乳房やパッド、ニップルなどを総称して「乳房補正具」「胸部補正具」などと記載されています。
これらの助成金はアピアランスケアの重要性が認識されるに従って、年々広まりつつあります。
助成金を設けている自治体を都道府県別にご紹介していますので、お住まいの自治体があるかぜひご確認ください。
助成金制度がある都道府県一覧はこちら
人工乳房の購入補助や助成金に関するポイント
自治体によって異なりますが、助成金を受け取るための条件や申請方法についてご案内します。
人工乳房の購入補助金・助成金を受けとる条件は?
下記の全ての項目が該当することが必要となるケースがほとんどです。また、購入した日付や納税状況などで変更となる可能性もあります。
- ・申請時にその自治体に住民票を有していること
- ・がんと診断され、治療を受けたり、または現在受けている方
- ・がん治療に伴い、乳房を切除し、乳房補正具を購入した方
- ・過去に同じ対象品で助成を受けていない方
助成金の対象となる乳房補正具とは?
各自治体によって対象は異なりますが、一般的に乳房補正具は下記の製品が上げられます。
複数購入された場合、補助の対象はいずれかひとつまたは申請が1回きりと定めている自治体がほとんどです。
- ・手術による形の変化に対応するための「補正下着」※中にいれるパッドも含まれることがあります
- ・肌に貼り付けて使用する「人工乳房」
- ・肌に貼り付けて使用する「人工乳頭(ニップル)」
人工乳房(乳房補正具)以外に「ウィッグ」が対象となることもあります。
人工乳房の購入補助を行っている自治体のほとんどは、同時に「ウィッグ」も補助の対象としています。
申請もそれぞれ1回ずつ行えることが多いので、あわせてご確認ください。
助成金はどうやって申請すればいいの?
各自治体のサイトをご覧いただき、担当部署に必要な申請書類などを提出してください。
審査が完了すれば、指定口座に助成金が振り込まれます。
※購入日から申請までに期限が設けられていることがありますのでご注意ください。
助成金の申請に必要なものは?
申請には各自治体が定める申請書の他、助成の対象であることを証明するための書類が必要となります。
また、人工乳房や人工ニップルを購入された際の領収書にある購入日をご確認いただき、申請の時期を過ぎていないかご確認ください。
- ・申請書
各自治体のサイトからダウンロードするか、担当部署で配布されています。 - ・がん治療を証明するもの(がん治療の説明書や診断書、診療明細書、治療方針計画書など)
人工乳房(乳房補正具)の場合は、乳房切除術などの外科的治療が証明できるものとなります。コピー(写し)可。 - ・住所を証明するもの
運転免許証、健康保険証など。世帯全員の住民票が必要な場合もあります。 - ・所得を証明できる書類
申請する時期の所得を証明するもの。 - ・対象補整具の領収書等
購入した補整具の領収書。申請者氏名、購入日、合計金額、品目などが証明できるもの。